あらすじ

「バービー」は、世界的な人気を誇るバービー人形をベースにした実写映画。美しいピンクの世界に住む、女子から絶大な人気のバービーが、人間世界で様々な冒険や成長を経て、真の自分を見つける物語。

見ていない人へのPR文

「バービー」は、カラフルでファッショナブルな世界に住むバービーが人間世界に迷い込み、男女の差を通じてリアルな人間の実態を知り、自らの存在意義を探す非常にクリティカルな映画に仕上がっています。マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングの魅力も大爆発しているので、ビジュアルとストーリーに引き込まれること間違いなし！

支持派の意見

キラキラバービーの世界を堪能する映画かと思いきや、超越的なフェミニズム映画であり、私たち人間ひとりひとりに訴えかける濃厚なストーリー展開に賞賛が集まっています。

-支持派の声-

「新感覚の自分探しムービー！」

「どぎつい皮肉の効いたブラックジョークと、ファンシーでパステルな世界観のギャップがたまらない！」

反対派の意見

劇中に出てくる極端な描写やセリフに不快感を持つ人もいます。注目度が高いゆえに、ファミリームービー的な感覚で見に行った観客は裏切られるような内容と捉えられることもあります。

-反対派の声-

「バービーの歴史がわからない自分はそこが気になって集中しきれませんでした」

「これどういう映画なんだろよくわからなかった」

私の意見・感想

スーパーフェミニズム映画かと思いきや、普遍的平等と自由を象徴する意欲的な一作です。

主人公バービーが暮らす世界は男社会の裏返しになってて、女性が社会の優位に立っている現実社会とは対照的な様子をものすごいコメディと共に描いている感じです。

この映画のすごいところは、バービーかわいい！という娯楽映画らしさに留まらない社会派映画であり、かつ、性別間問題を説教くさく描いていないところです。

バービーは女性中心の自分の世界で、人気者で、毎日自分中心にパーティが開かれ、また次の日も友達と過ごし、またパーティをするというルーティーン生活をしています。いつも変わらない楽しい毎日でしたが、突然バービーは自分の体に異変が起き、その原因が人間世界にいるバービーの持ち主に異変があってそれを解決すれば元の完璧な自分に戻れると知り、旅に出ます。もう1人、バービーに恋をしているが叶わない男人形のケンもバービーに同行し、一緒に人間世界にいくことになります。

そこで、描かれるバービーワールドと人間社会は、面白い対比になっています。

バービーワールド＝女性優位

人間世界＝男性優位

こんな構造が映画内で如実に描かれていて、バービーは人間世界で、バービーは時代遅れ、男性に雑な扱いを受けたりと、今まで経験したことない目に遭います。

それと反対に、ケンは初めての男性優位の世界に魅了され、人間世界に即なじみ、なんとバービーワールドに、先に戻るや否や、男性優位の世界に作り替えてしまうのです！

その後、物語はケンがそんな政権交代のようなクーデターを起こしますが、バービー率いる女性チームがそれを阻止し、元の世界に戻しました。

ただそこで、

元の社会に戻すのではなく、ケンたち男性人形も、バービーたちと平等・自由に生きる世界に変える結末となりました。

そこには、この映画の大きなメッセージがあります。それは、ありのままの自分でいれる素晴らしさです。映画の中で、バービーは女性社会であっても、自分は定番バービーとして個性がないことに悩み、ケンも男性社会になっても自分らしさを見失っていました。この映画の結末がもたらしてくれるのは、社会の構造は全個人を助けてくれない。バービーも男性優位社会が理想の女性像として、バービーを商業的に利用しているだけであるから、定番バービーである主人公はこの事実を知り、新たな自分を作っていく旅に出ていく。つまり、「個性を大切にする」というメッセージです。

バービーもケンも社会や考え方に強制されない解き離たれた存在になっていきますので、見てて非常に気持ちのいい、男性社会はダメ、女性優位もダメなどというな説教じみた映画になっていない。そんな明るいビジュアルの映画に深いふかーいメッセージが込められた一作なのです。

「解き放ってはくれるけど、そこからは自分次第」のような捉え方を私はしていますので、優しさと厳しさがバランスよく配合されたレベルが超絶高い映画だと思いました。